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「シン君どこだろう…」 セツコはクッキーの乗った皿を手に、アーガマの通路を歩いていた。 戦争も終わり、彼女は味覚のリハビリを兼ねて度々お菓子を振舞う機会が増えてきた。 最初のうちは、微妙な味付けが出来ずに極端に甘過ぎたり、味がしなかったりと散々な出来であったが、味覚の回復と共に、 出来上がるお菓子の味も飛躍的に進歩を見せていた。 今日のは格別の出来であり、グランナイツの女性陣にも好評であったため、セツコはとりわけ形の良いものを選ぶと、 真っ先にシンに食べて欲しいと思って彼の姿を探したが、シミュレータールームにも彼の部屋にも、MSデッキにも姿はなく、 セツコはこうしてウロウロと彷徨うはめになっていた。遂には食堂の前に着くが、いつもはごった返している人の気配が無く、 時間的にはお昼を幾らか過ぎていることからも恐らくいないだろうと早々に見切りを付けて通り過ぎようとした時であった。 「美味しいです!!」 弾んだ声が食堂から響く。思いも寄らぬ声に、セツコは思わず通り過ぎようとした食堂を覗き込むとそこには二つの人影があった。 一つは小さな、可愛らしいお人形のような容姿に、エメラルドよりももっと深い色を讃えた髪とくりくりと大きく、幼くして既に 気品と聡明さに溢れ、将来は間違いなく誰もが瞳を奪われるような美しい女性になるであろう事がわかる少女。 もう一つの人影は、セツコの探している人物のものであった。 先程の賛辞がお世辞などではなく本心からの言葉であると、少女の浮かべる、その満面の笑みが物語っていた。 声の主、アナ・メダイユはスプーンを使って嬉しそうに目の前の小山、チキンライスの攻略に取り掛かる。 リュボフがいれば「品が無いです」と怒ったであろうが、生憎とそのような小言を言うものはおらず、アナ姫の対面に座って エプロンを脱ぎながら、元気良くチキンライスを頬張る様を見つめるのは一人の少年だった。 紅色の瞳を細め、健啖ぶりを楽しそうに見つめる瞳はいつに無く柔らかく、慈しみに満ちている。 セツコはそうそう自分でさえもお目にかかったことのない柔らかな笑みにドキッとする。 普段は切れ味の鋭い刀のように、戦場にあっては直ぐにでも喉笛を食い千切れるように身を伏せた肉食獣のような瞳をしている事の 多い瞳は、血の色、紅蓮の炎を比喩、もしくは揶揄される。 しかし、今、シンが目の前の少女に向けているのは全く毛色の異なるものであった。 見ているだけで胸がポカポカと温かくなるような、太陽のような瞳。 守られている、守ってくれると、無条件に信頼してしまいたくなる優しさと、柔らかさに満ちたお日様のような瞳だった。 胸がキューンっと締め付けられるように、甘い痺れが身体の芯から全身に行き渡る。 何時も目つきが悪いとルナマリアにからかわれている瞳があんな風にやわらかくなると一体どれだけの人が知っているのだろうか。 知れば、きっとシンを見る目は随分と変わるだろう、そう思うとやはり今のままで良いとセツコは考え直す。 コーディネイター故にか、元々目鼻立ち、容姿に優れたシンはその武勲と相まって密かにミネルバや他のクルーに人気があるのだと エニルやトニア、ミヅキから以前聞いたことがある。しかし、自分の存在や、彼自身心を開いた者以外に対してどこか寄せ付けない空気を 孕んでいる為、大手を振ってアプローチをかける者がいない。 それが今の彼の笑みを見てしまったら、個人的にかなり面白くない。 もっとハッキリと言ってしまえば、まだようやく7歳になろうかというアナに対してであっても、滅多に見せないシンの笑みをたった今、 独占しているという事実がセツコには余り面白いものではなかった。 19歳の自分が一回りも違う少女とも呼べない女の子に対して随分と大人気ないとはわかってはいるが、身の内側から沸き出でる感情ばかりは どうしようもない。失いかけた未来を取り戻した反動で、セツコはシンに対してはどこまでも欲の深い自分を自覚していた。 「そうか?でもあんまり食いすぎるなよ?夕飯が食べられなくなっても知らないからな」 形の良い深い藍色の頭を撫でると、アナはくすぐったそうに微笑む。年齢に反して聡明で早熟な少女は、きっと見目の良い年上のお兄さん に頭を撫でられるという行為が嬉しくも恥かしいのだろう。もっとも、シンは、男は徐々に男に『成長する』のと違い、女は生まれたときから 女『である』という言葉を知らず、そんなアナの反応を単純に頭を撫でてもらう機会の少ないお姫様故の反応だろうと思っていた。 「大丈夫です。こう見えても私はとても沢山ご飯を食べるのですよ?」 アナの言う『沢山』というのがどの程度なのか知っているだけに、シンは吹き出しそうになる。しかし、気位、気品はすでに立派なレディーと もいえる彼女の前で吹き出そうものなら機嫌を損ねる事が目に見えていたので「そうか、そうか」とまた頭を撫でる。 嬉しそうに撫でられるままにしていたアナは、ふと視線に入った人影に気付く。 セツコもアナと視線がばっちり合ってしまい、思わず『しまった』と思った。 あまりにも二人のやり取りが微笑ましく、邪魔をしてはいけないと知りつつも、シンが滅多に浮かべない微笑に見とれ、ついつい食堂の入り口に 立ったままの自分に気付いたのだ。 「あ~セツコさん!!セツコさんも食べますか~?」 手にしたスプーンをブンブンと振り、大きな声を上げるアナに、シンもセツコの方を振り返った。 「セツコさん?」 思いも寄らなかったのだろう、目を見開いて、「どうしてここに?」といった表情に理不尽と知りつつも、こっちはずっと探してたのに、という 気持ちと、自分の預かり知らぬところであんな笑みを浮かべて、という感情が沸き、頬を微かに膨らます。 「ごめんなさい。覗き見するつもりじゃなかったんだけど…」 「セツコさん……もしかして俺の事探していました?」 「え?」 言われて、シンの視線が手に持ったお皿に注がれているのに気付き、頬に血が集まる。 「クッキーですね。セツコさんが焼かれたのですか?シンに食べてもらうために」 チキンライスを飲み込むと、アナが無邪気な瞳で、ズバリと核心を突く言葉を放つ。 セツコは最早変な意地を張るのも馬鹿馬鹿しく無意味に感じ、頷く。 「……うん。今日は綺麗に焼けたから食べてもらおうと思って」 「いいんですか?いただきます」 「私も食べたいです!!」 「ダ~メ。アナ姫様はこれ以上食べたら夕飯がマジで入らなくなるぞ?」 「う~う」 「唸ってもダメ。それとも夕飯残して梅江婆ちゃんに怒られるか?」 「それは嫌です…」 見る見る内にシュンとなるアナが可愛らしく、可哀想に思い、セツコはそっとアナに駆け寄ると、頭を撫でてやる。 「姫様の分はきちんと取っておきますよ。可愛いラッピング付で」 「本当ですか!」 ぱぁっとすぐさま笑みを浮かべる、自分の感情に正直な小さなお姫様に、シンとセツコは思わず顔を見合わせて笑う。 ◇ 「ホント…美味しい…」 セツコは、自分用に取り分けてもらったチキンライスを一口食べて思わず何の捻りも無い素直な感想を漏らす。 ご飯がパラパラとほぐれており、ほど良くケチャップが絡んだケチャップライスとチキンは脂っこくなく香ばしい風味が広がる。 料理が上手いと聞いた事があったが、まさかこれほどきちんとしたものだとは思ってもいなかった。 「凄いんですよ、シンってすぐにパパパって作ったんです」 チキンライスを平らげたアナが瞳をキラキラさせながらセツコに身振り手振りで説明する。 「でもどうしてまたチキンライスなんて?」 アナの口元に付いたケチャップを拭いてやりながらセツコが根本的な疑問を口にする。 アナの食べ終えた皿や、フライパンを洗い終え、手を拭いながら戻ってくるとシンはニコニコと笑ってるアナに一瞬だけ、セツコにしか わからないほんの一瞬何かを懐かしむような、寂しげな笑みを浮かべるとセツコとアナの対面に座る。 「さっきね…エイジと斗牙がオムライスの話をしてたんですよ。斗牙はオムライスって食べたことが無いらしくて、ほら、あの城ってもっと 豪華な食事が基本でしょう?だからそういう素朴な食べ物を食べたことが無いらしくて。で、それはアナ姫様も同じみたいで」 「本当は斗牙も一緒に食べる筈だったのですが、用事が出来てしまって」 「まぁ、丁度俺も手が空いてましたしね、冷蔵庫にも材料があったし」 「そうだったの…でも、ホント、美味しい…シン君ってお料理上手なのね」 「私もそうだと思います!!シンは優しいですし、シンのお嫁さんになる人はきっと凄く、凄く幸せだと思います!!」 「ははは、そうかなぁ…」 「そうです!!私が保証します!!」 無邪気ゆえに、何の下心も無い言葉に、温かい気持ちになりつつも、このおませなお姫様をからかってやろうという気持ちがムクムクと 鎌首をもたげ、シンは紅の瞳をイタズラっぽく揺らし、口元に笑みを浮かべる。 「へぇ~、だったら、もしもの時はアナ姫様が俺をお婿さんにしてくれますか?」 「「ええ!?」」 声はアナとセツコの二人から同時に漏れた。シンとしては単純に冗談で言ったつもりだっただけに、 このリアクションは、それもセツコまでも同じリアクションを返した事は予想外であった。 「い、いや、あの、じょうだんで…」 慌てて否定しようとすると、アナは頬を林檎のように赤くしながらモジモジとシンを見上げる。 「その…私はメダイユの娘ですので、まずお父様にご報告をしてから正式な婚約の手続きをしなければなりませんし、結婚可能になるまで もう少し待っていただかなくてはいけませんよ…?」 「いや、だから、姫様…あのね」 何か予想外の地雷を踏んでしまった事に、シンは自分をモジモジと見上げるアナの視線と、その横で無表情という表情すら浮かべていない 『無』といった顔で、絶対零度の瞳を向けているセツコの視線をザクザクと感じながらようやく気付いた。 惜しむらくは、シンが人より鈍感であった事、アナが一般の年齢の子供よりも聡明で早熟な少女であった事への考慮不足、そして、シンが 自分が心からの笑みを浮かべる時、その紅い瞳が柔らかい光を帯びてどれほど神秘的に煌くのかに対して無頓着であった事であろうか。 シンにとってはある意味拷問のような微妙な空気は、しかし、第三の声によって壊されることとなる。 「アナーーこれからみんなでゲームやるからおいでよ」 ゲイナーが食堂からアナに向け大きな声を上げたのだ。 「ゲイナー!!行きます!!」 ゲイナーを兄のように慕い、懐いているアナはその言葉に、一も二も無く飛びついた。 座っていた椅子からひょいっと身軽に降りると、走り出そうとして、立ち止まる。 シンとセツコが不思議そうな顔をすると、アナは振り返って、ぺこりとお辞儀をする。 「シン、ご馳走様でした」 可愛らしく、元気良く、そして礼儀正しい少女に、二人はついつい笑みを浮かべてしまう。 それから、アナは頬を赤くしてからシンを見上げる。 「……シン…先程のお話の返事はもう少し私が大人になるまで待っていてください」 「へ…?ええ…ああ、うん…」 そういうと、恥かしそうに耳まで赤くしたアナはゲイナーに向かって走っていく。 残されたのは背中に微妙に冷たい汗を垂らしたシンとそれをどこか冷たい目で見つめるセツコであった。 「大人になるまで待っていてください、か…シン君ったら罪作りなんだから」 にこりと笑いながら、全く笑っていない瞳で見つめてくるセツコにシンは愛想笑いしか浮かべられない。 「アナ姫様は聡明な方だからすぐに忘れるなんてないかもしれないわね」 シンの愛想笑いが更に引き攣る。セツコはシンの方を見ずに、食堂の入り口、アナの出て行った方を見たまま柔らかく、けれども冷たく呟く。 「良かったわね、可愛らしいお嫁さん候補が出来て」 「セツコさ~ん…」 何時にも増して意地の悪いセツコに、とうとうシンは根を上げたように情けない声を上げる。セツコは溜め息を吐くと、呆れたようにシンを 見つめる。セツコも、シンの意図は十分に理解しているのだ。それでも、つい面白くなくてイジワルをしてしまった。 「シン君はね、もう少し女の子にかける言葉に気を遣わないとダメよ?」 誤解する娘が出たらどうするのと、言いそうになってセツコは辛うじてその言葉を飲み込む。 これ以上嫉妬深いと思われてしまうのは嫌だと思ったからだ。 「ハイ…胆に銘じておきます」 雨に濡れた子犬のように、情けなくうなだれる姿に、ようやくセツコの口元に笑みが浮かぶ。 「でも、シン君昔からお料理上手だったの?」 セツコは、空になった自分のチキンライスの皿を見ながら尋ねる。 シンはその言葉に、先程も浮かべた寂しげな笑みを微かに浮かべると、一つ小さく息を吐く。 その仕草だけで、シンが何か意を決して言葉を述べると知る。 「最初に作ったのは10歳の時でした。俺ん家は共働きで、妹の保育園に迎えに行くのも面倒を見るのも俺の仕事でした。きっかけは両親がそろって 帰りが遅くなるっていう電話をしてきた時で、それは珍しい事じゃなかったけれど。とにかく、俺はそれまでそんな時はカップ麺とかを作ってたん です。でも、妹は、マユはそれが嫌で、もっとちゃんとしたのが食べたいって、まだ4歳の癖に偉そうに言うんですよ」 そう言うシンの口元は優しく笑みを作っている。 もう二度と戻らぬ在りし日を思い浮かべているのだろう事は、容易に想像が付いた。 「それで、何食べたいって聞いたら『オムライス』って…結局卵が上手く出来なくて塩っ辛いチキンライスになりましたけど、 でもマユは美味しいって言ってくれたんです。絶対普段母さんの飯を食べてたら美味いはずないのに」 セツコは、その時のマユというシンの妹の言葉は恐らく本音だったのではないかと思った。 いつも自分を大事に面倒をみてくれる優しい兄が悪戦苦闘しながら自分の我が侭の為に作ってくれた料理はきっととても美味しいと感じたのだろう。 自分のためだけのチキンライスなのだから、不味い筈がない。 「それからかな…単純なもんで、美味しいって言ってくれるのが嬉しくて色々作りました。ハンバーグとか、野菜も摂らないとって思って シチューなんかも作れるようになりましたよ?でも、肉じゃがとか、そういう料理は作れませんでした。マユが喜びそうなものっていうと どうしても子供向けの料理ばかりになって。でも、もっときちんとしたのが作りたくて、それで、母さんに教わることにしたんです。母さん 俺に『シンは本当に優しいお兄ちゃんね』って、もう14だってのに頭撫でてきて…」 懐かしむように歪められた表情は今にも泣こうとしているのか、笑おうとしているのか判別出来ないものだった。 「でも、結局教えてもらえませんでした…」 「どうして…?」 「母さんが仕事休みの時に教えてもらうつもりだったんですけど、その前に、オーブは焼かれました…」 「あ……」 セツコは自分を張り飛ばしたくなった。気付いて然るべきだというのに、自分は何て鈍いのだろうか。 シンは、感傷を振り切るように、手元に下ろしていた視線を上げる。 涙が滲んでいるように見えたのは、恐らくセツコの見間違いなどではないだろう。 「だから、料理上手って言っても、ホント、子供舌が満足するようなものしか作れませんよ」 ハハハ、と力無く笑って、まるでこのお話はこれまでと言うようにシンはセツコの皿を手に取ると、片付けようと席を立つ。 セツコは、反射的にシンの手を握る。 「セツコさん…?」 「シン君……私の味覚って……まだ完全に戻ってないの……」 「え…?」 「それでね、だから微妙な味とかってわからなくて…」 セツコは、上手く纏らない言葉に、自分の口に苛立ちを覚えながらも言葉を何とか押し出す。 「それでね…私がお菓子ばかり作ってるのって、リハビリもあるけど、普通のお料理が上手じゃないからで…」 「………」 シンは何も言わずにジッとセツコの言葉に耳をそばだてている。 「でも、できれば…上手になりたいの…古臭いかもしれないけれど………好きな人より下手なままなのは嫌だから…」 セツコは、頬を赤く染めながらシンを見つめる。 セツコの熱が伝染ったように、シンの頬も朱に染まる。 「だから……その…一緒に練習しましょう?………シン君も、その、やっぱり……肉じゃがとかが美味しく作れた方が嬉しいでしょ?」 耳も、首も真っ赤になったセツコに、シンはようやくその意図を察したのか、柔らかな笑みを浮かべる。 それはアナに向けていた慈しむような笑みではなく、愛しい者を見つめる瞳だった。 「そうですね。セツコさんの肉じゃが食べたいな…」 そう言って、握られていた手を一度解くと、セツコの指に絡めるように握りなおす。 「ああ…でも、一つだけお願いがあります」 「お願い?」 握られた手から伝わる熱に、うかされた様に頬を林檎のように染めていたセツコが、羞恥と喜びで湖の表面の様に澄んだ色に潤んだ 翡翠の瞳をそっと、シンの紅の瞳に向ける。シンは、イタズラを思いついたように笑うと、そっとセツコを抱き寄せる。 「あ……」 不意打ちだったため、セツコは為すがままシンの胸にぽすんと身を預ける。 「その時はセツコさんも頂きますから」 そっと、耳元で囁かれた言葉に、喜びの余り涙を滲ませながらセツコは小さく頷く。
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【作品名】スーパーロボット大戦Zシリーズ 【ジャンル】ゲーム 【共通設定・世界観】 世界観は無限の平行世界と、ある事象に生じる可能性分岐により発生する新たな世界の多元+α 太極:多元宇宙の全てを司る意思 源理の力(オリジン・ロー)もこれに属する力だと思われる 次元獣:別次元から現れる謎の生命体。その正体は、破界の王が生成するリヴァイヴ・セルの効果によって機動兵器と搭乗者の生命が融合したもの。 等級が存在し、ブルダモン級以上の固体は周辺の時空間を歪め次元断層をつくり攻撃を防ぐことができる。 テンプレメンバーの攻撃は次元断層を突き破ることが可能 亜空間:この空間内だとバルディオスの移動速度は無限速になる(設定) なお、テンプレメンバーは亜空間内の戦闘でバルディオス移動に反応できたり攻撃を避けれる奴と同等以上の反応速度 オーバースキル:超能力のようなもの時間停止や読心能力など使用者によって異なる スパロボZのマス計算は最大ユニットの惑星サイズのゴーマ、一マス12000kmで計算 共通テンプレ:ソルグラヴィオンは惑星破壊可能な攻撃力で、他のテンプレメンバーもそれと同等の威力の攻撃力(効果範囲も惑星サイズ) 【名前】セツコ・オハラwithバルゴラ・グローリー 【属性】悲しみの乙女 【大きさ】19.8 m 54.4 t 【攻撃力】「悲しみの乙女のスフィア」が搭載された遠近問わず 戦える兵器ガナリー・カーバーを駆使して戦う ナウティラス・カーバー:ガナリー・カーバーのストックで突き出し、 バーレイ・サイズを展開、敵機を連続で斬り付ける。 トドメにジャック・カーバーを展開し、突き刺した後、一刀両断して締める。 威力は惑星破壊以上 射程60000km ザ・グローリー・スター:ガナリー・カーバーの出力を最大以上まで引き上げ、ビームで前方を薙ぎ払う攻撃。 威力は惑星破壊以上 射程は120000km 効果範囲は惑星三つ分 【防御力】惑星破壊並の攻撃に3発耐えられる 凍結攻撃、停止攻撃に耐性 【素早さ】反応及び戦闘速度は無限速 超距離移動はM.4400 【特殊能力】宇宙空間で戦闘可能 精神耐性:精神攻撃に耐性がつく ガード:ダメージを8割に抑える 【長所】無限速 【短所】乙女(笑) vol.4 参戦 ------------------------------------------------------------------------------------------------------- 100 名前:97[sage] 投稿日:2011/05/27(金) 15 14 35.39 ID ffD+/1mi セツコ・オハラ考察 ~○サルバトーレ 惑星破壊勝ち ×アヤネ 表裏反転負け ○赤木カツミ ザ・グローリー・スター勝ち ○カグヅチ ザ・グローリー・スター勝ち ×マイメロ 移動速度がそんなに早くないから叩き潰され負け ×ちょび丸 突撃負け ○水鏡 圧倒的速度差で斬りまくって勝ち ×桜坂椎菜 ソーセージにされ負け ○魎呼 頑張って斬って勝ち ○ウーヌム ザ・グローリー・スター勝ち ○メグ ザ・グローリー・スター勝ち △村田郁美 倒せない倒されない ×ケルビウス BH負け ×ベルベット 吸収負け ×河合恵 でかすぎ負け ×D-アーネ 攻撃力高すぎ負け ×蔵女 腐食負け 無限速反応でも攻防速が微妙だしなぁ ケルビウス>村田郁美=セツコ・オハラ>メグwith巨大MEGAミックス
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ZEUTHは補給と休息ためバザーの開かれた街に立ち寄っていた。 危険と隣り合わせであるが皆、暫しの安息を楽しんでいた。 そんな中、シン・アスカは人目を避けミネルバを降り徒歩にて街に向かう、セツコ・オハラに会いに。 はじめに提案したのは、セツコだった。 二人で街に向かうのは皆の目もあり、良く無いと言うのだ。 シンは走る優しさと言うより、自己主張の乏しい彼女のもとに。 ホテルの中。 そのドアの内側でシンはセツコを抱きしめる。 不器用に ぎこちなく 力強く 「シ、シン君、服がシワになるから、服だけ脱がせてお願い」 セツコはシンに懇願した。 あっ、とシンは我に返った。 シンはセツコの手を引き奥に入って行く。 奥に入るとシンは電話でフロントと連絡を取ろうとしたが繋がらない。 「どうしたの?」 「ルームサービス予約してたんですけど?」 シンは上着を脱ぐとドアに向かう。「フロントまで行って来るんで待ってて下さい」 シンがドアを開ける同時に ドキューン 室内に銃声が響いた。 「ひっ!なに?シン君、どうしたの?」 室内のライトが消され鍵の閉まる音がした。 「シン君!シン君!」 セツコは叫びドア方向に駆けるシンに向かって。 影がセツコに忍び寄る。 「だ、誰?シン君!シんー・・・」 暗闇の中、侵入者はセツコの腕を取り壁に向かって押さえつけ。 顔に冷たいモノを当てる。 騒ぐなと言う事か。 「・・・だ、誰?、おお金なら差し上げますから、シン君を助けて・・・」 我ながら的外れな事を言ったと思う。 こんな世界だ、やるなら、とことんやるだろう。 (シン君ごめんなさい、私ここまでかも) その時パッとライトが着いた。 目の前に現れたのは赤い目の少年だった。 手にはケーキナイフが握られていた。 「セツコさん驚かせてごめんね」 シンはセツコを抱きしめる。 「・・・えっ・・えっ・・」 「ほらルームサービスも来てますから食べましょ」 シンが示した先にはケーキを中心とした豪華なディナーがあった。 「えっ!だって?」「音はコレですよ。イタズラ」 シンは携帯を取り出し音を鳴らす。 「・・・シン君・・・」 「は、はい」 シンは正直殴られるか、引っ張ったかれるか、噛みつかれるか、引っ掻かれるかと思っていたが。 抱きつかれた。 「シン君!よかった。シン君、無事で」 そのまま押し倒された。 「ううっ、シン君」 泣かれた。 涙がシンの顔を濡らす。 「あの~、セ・・・セツコさん」 「シン君シン君シン君」 聖夜は始まったばかり。 どっとはらい
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アスラン「俺って…俺の価値って…」 キラケン「まあまあ、元気を出すんじゃ!ほれ、なぜなにシリーズ視聴者、100人に聞いたお前さんのアンケートじゃい。」 アスラン「ど、どんな結果が?」 ~アーガマ、ミネルバ、…とまぁ、早い話ゼウスの皆さんに聞きました、アスラン・ザラの印象は?~ 「迅速要員」…15人 「移動距離稼ぎ」…15人 「凸」…15人 「『魂』無いから決めてに欠ける」…15人 「キラの腰巾着」…30人 「え?居たっけ?」…50人 「ヅラ」…沢山 アスラン「100人オーバーじゃないかっ!?しかも皆酷いぃぃぃぃぃっっ!!」 キラケン「こらアスラン、またんか~い!」 アスラン「他のキャラは?他のキャラの印象はどうなっているぅ!!」 アーサー「まあ、落ち着け。ええーと…キラは…」 フリーダム野郎 良き相方 MAP兵器便利 ちょっと変なやつっぽいけど悪人じゃなさそう 「帰れ!」とか言ってすまん アスラン「…わりと好感触じゃないか」 キラ「いやぁ…照れるなぁ」 シン「(誰が書いたかだいたいわかるな…)」 シンの場合だと… 「ツンデレ」→沢山 「砂糖精製工場」→沢山 「ボスキャラキラー」→沢山 「可愛い黒ウサギ」→女性陣 「切り込み隊長」→沢山 「突撃頭」→沢山 「バカップル」→山程 「生意気だけどいい子」→沢山 「自慢の夫」→セツコさん アスラン「……俺と雲泥の差が…」 キラ「でも、何気に敵も多そうだよね…砂糖精製工場とか…」 シン「セツコさん…///」 シン君を泉に落としてしまいました。アナタが落としたのは。 ①ハグで愛情表現。なつくと可愛いTV版シン君 ②少年マンガの主人公してる男前なボンボン版シン ③作者の愛情受けまくり、やたら母性本能刺激するジ・エッジ版シンちゃん どれですか? セツコ「④新しい舞台、新しい世界、そして新しい戦友(なかま)。スパロボという世界で本来のスポットライトを浴びた、私の出会ったシン君です!」 「正直な貴女には全員差し上げましょう…」 セツコ「さあ!シン君たち!もう一回飛び込むのよ!!」 ルナ「増え過ぎ!!」 ラクス「私色に染めやすそうな①を下さいな」 ツィーネ「調教し甲斐のある③を頂戴よ」 カミーユ「俺の親友の④だ!!」 レイ「俺との友情の為に凸と戦ってくれた②を所望する」 宇宙に浮かぶ無数の砂時計 それらは「プラント」と呼ばれる一つの国家を形成している そこで戦後、シンとセツコ、そしてステラは生活していた… 「シン、セツコ、おはよう…?」 午前九時頃、夜更かしをしていたせいか普段より若干遅く起きたステラが見たものは、 リビングで紐で紙コップをつないだものを持った二人の姿だった。 「あ、おはようステラちゃん」 「おはよう、ステラ」 と、二人が挨拶を返しながら持っていた紙コップを一つステラの手に渡す。 唐突に渡されたそれをどうしたらいいのか分からずキョトンとしているステラに、 渡した張本人、シンは穏やかな笑みを浮かべながらこう言った。 「それを耳に当ててごらん」と ここまで読めば大体の人がこれが何だか分かるだろうが、ステラはどうやら知らないらしく、 恐る恐るといった感じで耳に当てた。 「聞こえる?ステラちゃん」 「!?きこえる!セツコのこえがきこえる!」 「それは”糸でんわ”って言うんだよ、ステラ」 「”いとでんわ”?」 「そうよ、今私がやったように相手とお話ができるの」 じゃあ、わたしのこえもきこえるの?と嬉しそうに聞くステラにセツコは微笑みながら頷くことで返した。 「きこえる?」 「うん、よく聞こえてるわ」 お互いの声が聞こえる事がとても嬉しいのか、ひまわりのような満面の笑みを浮かべながら、 何度もきこえる?と聞くステラに、満開の桜のような笑みを浮かべながら、 セツコもまた何度も聞こえてるわよ、と返す。 そんな二人を見ながら、シンは体の内側からあふれてくるありったけの幸福感を凝縮した 太陽のような笑みを浮かべていた。 「シンもいっしょにやろう?」 「そうだな、見てるだけじゃつまんないしな」 「それじゃあ、シン君は私と交代ね」 「ありがとうセツコさん。聞こえるか~ステラ?」 「うん!よくきこえるよ♪」 今日もアスカ家は平和である セツコ?「シ~ンくん♪」 抱き付き!! シン「うわッ////」 仲間達「おお~」 セツコ?「うふふふふ~シン君大好き~♪チュッ、チュッ、チュッ」 シン「/////ちょ、ちょっと、セツコさん!?ど、どうしたの!?」 セツコ?「真っ赤になって可愛い~/////♪チュッ」 仲間達「すげぇ…」 シン(な、何で今日はそんなに積極的……ん?眼が赤い…?) セツコ「な、ななな、何やってるの!!私のシン君にぃぃぃぃ!!!」 シン「あれ?セツコさんが二人……?」 セツコ?「チッ………ボソンジャンプ!!」 シン「消えた!?」 セツコ「……シン君……さっきの娘とキスしてたよね…?」 シン「ち、ちが、不可抗力…ッ」 セツコ「問答無用!!」 イネス「あら?お帰り。楽しんできた?」 セツコ?「うん。昔のパパ可愛かった♪♪もう少しで既成事実が出来たのに…」 イネス(恐ろしい娘…ッ!!) 428氏の娘ネタを拝借しました。スイマセン。 シン「さて、出撃前に小隊組まないと…」 レイ「シン、俺が入る。」 シン「オッケー、頼むなレイ。あと一人なんだけど――」 カミーユ「(俺がっ!)」 セツコ「(わ、私が!)」 ルナマリア「(セツコさんには譲らない!)」 ステラ「(ステラが入る…)」 ハマーン「(俗物共が、身の程を知れ!)」 シン「ん~、デスティニーとレジェンドのバランスを考えると…」 一同「「(考えると!?)」」 シン「アスラン、入って下さいよ。」 一同「「何だそりゃあああっ!?」」 アスラン「お、俺が!?シン、本当に俺でいいのか…?こんな…お前を散々惑わせて来た俺が…」 シン「ええ、アンタでいいんです。」 アスラン「…シン…俺は…っ(感涙)」 シン「頼りにしてますよ、『迅速』。デスティニーとレジェンドが空陸タイプだから、飛行ユニットじゃないと移動力落ちますし(悪気無し+あっさり+天然)。」 アスラン「天国から地獄とはこの事だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ(マジ泣きダッシュ)!!!」 シン「あ、あれ?アスラン、待って下さいよ!」 一同「「ざまぁみろ、凸凹…」」 クワトロ「休暇だというのにすまなかったな、二人とも」 ハマーン「ミネバ様にX masプレゼントをと思ったのだが、我々二人ではなかなか、な」 シン「まぁ、大尉とハマーンさんが、二人だけでぬいぐるみ店には、入りづらいですよね」 セツコ「そんな事ないわよ、シン君。ハマーンさんが選んだぬいぐるみ、あれは良いものですよー!」 クワトロ「ニュータイプの勘、と言うわけではなさそうだな」 セツコ「ええ、あのぬいぐるみを選ぶとは、そうとう目が肥えているとしか」 ハマーン「ええい、もうよいではないかっ!そんなことよりもシャア!二人へのお礼のケーキとは、 どこの店なのだ!」 シン「別にハマーンさんがぬいぐるみが好きでも、可愛くていいと思いますが」 ハマーン「少年よ。私にも守るべき評判というものがあるのだよ」 クワトロ「キュベレイのコックピットが、兎や猫で埋まっていると聞いたが」 ハマーン「黒兎、茶兎、白兎、青兎の四つしか積んでおらんわっ!」 シン(積んでるだ・・・) クワトロ「(冗談だったのだが・・・)まぁいい。ここの喫茶店だ。入ってくれ」 セツコ「・・・・・・」 シン「セ、セツコさん?息してますか?」 ハマーン「これは見事なケーキの山だな」 クワトロ「マスターとは古い付き合いでな。X mas用の試作品でもあるから、遠慮なく食べてくれ」 セツコ シン「いただきます!」 セツコ「もぐもぐパクパクモグモグぱくぱく・・・」 シン「セツコさん、鼻にクリームが」 セツコ「パクパクもぐもぐぱくぱくムグッ」 シン「ほらほら慌てなくっても、沢山ありますから」 クワトロ「シンの方が、母親のようだな」 シン「すいません。普段の食事の時は、こんな事はないんですが、スィーツとなると 目の色が変わっちゃって」 セツコ「モグモグパクパクぱくぱくもぐもぐ・・・」 シン「俺だって一度位は、フォークで『あ~ん♪』とか、してみたいんですよ~っ!」 ハマーン(シャア、このケーキ、甘さと香りで判りづらいが、アルコールが効きすぎではないか?) クワトロ(ブランデーを少しばかり多目に、な。持つべき者は、物分かりの良い友人さ。) ハマーン(なるほど、そう言うことか!) セツコ シン「ごちそぉさまでしたぁ!」 シン(あ、あれ?足元が変だな?) セツコ「とぉっても、美味しかったで~す!」 クワトロ「時間ができたら、また来てやってくれ。奴も喜ぶだろう」 セツコ「はいっ!シン君、クリスマスはここでデートしましょう!」 シン「い、いきなり何言ってるんですか!」 セツコ「えー、デート嫌ですか?(ウルウル)」 シン「い、嫌な訳ないじゃないですかっ!」 セツコ「じゃあ、今からデートしましょーっ!(ダキッ)」 シン「ちょっ、セツコさん、ま、待って」 クワトロ「(今だ、ハマーン!)シン!今が駆け抜ける時っ!(ギュッ)」 ハマーン「(承知!)セツコ、あなたに力を!(ギュッ)」 クワトロ ハマーン「応援、祝福、感応、激励!では、さらばっ!」 シン「あんた達どれも持ってないだろうっ!」 セツコ「ねぇ、シン君も何か貰った?」 シン「ああ、何か持たされた。セツコさんも?」 セツコ「うん、なんだろう・・・っ!こ、こ」 シン「コ、コン○ーム!な、ちょっと、いや、セ、セツコさん、大丈夫、変なことしないからっ!」 セツコ「変なこと?」 シン「いや、その、す、捨てましょう!こんなもの!」 セツコ「ん~、まだ子供は早いと思っていたけど・・・でも、シン君が欲しいなら私頑張るっ! 女の子は男親に似るのよねっ。ピンクのフリフリのシン君・・・ウフ、ウフフ」 シン「あ、あのセツコさん?そう言う意味じゃなくてですね」 セツコ「でも女の子だと、シン君の取り合いになっちゃいそう・・・やっぱりもう少し、 二人だけの時間が欲しいな。シン君が仕事から帰って来たら『お風呂でします?食事の前にします? それとも、わ・た・し?』とかぁ♪キャッ♪」 シン「セツコさぁぁぁぁんっ!」 ハマーン「久しぶりに二人きりだというのに、浮かない顔だな。私が隣にいるのがそんなに嫌か?」 クワトロ「馬鹿な事を言わないでくれ。もしも嫌なら、ホテルのレストランも、スイートルームも 予約したりはしないさ」 ハマーン「シャア・・・」 クワトロ「しかしな、二人とも彼等に渡してしまったのでな。自分達の分をどこで仕入れようかと」 ハマーン「この俗物がっ!(ガツン!)とっとと帰るぞ!」 クワトロ(フッフッフ、良い打撃だ。しかし、ファンネルは鈍器ではないぞ、ハマーn・・・) 『みんな抱きしめて銀河の果てまで!』 麗華「可愛いわね」 フォウ「ええ、私もあんな服着てみたいな」 セツコ「フフ、女の子なら誰でも1度はアイドルに憧れるものよね」 ツィーネ「その言葉を!」 クワトロ「待って!」 ラクス「いましたわ!」 ハマーン「俗物が!」 麗華「な、何!?」 クワトロ「では、諸君。よろしく頼むぞ」 ラクス「おまかせですわ」 フォウ「な、離せ!離せ!」 セツコ「いや、嫌、嫌ぁぁぁ!」 シン「レイ、そのみかん」 カミーユ「ほらシン」ピキーン シン「お、サンキューカミーユ」 カミーユ「何、気にするな」ピキーン レイ「…………」ピキーン シン「やっぱりコタツにはみかんだな……」 『では、出てきていただきましょう。先週デビューしたアイドルユニット、グロ☆スタです』 セツコ『どうも』 フォウ『皆さん、こんにちは~♪』 麗華『初めまして。私達…』 3人『グロ☆スタで~す』 シン・カミーユ・レイ「!!?」 シン「せ、セツコさん!?」 カミーユ「フォウまでいるぞ……」 司会『いや、美人ぞろいですね。流石アイドルだ』 フォウ『ありがとうございま~す♪』 司会『では、今日は何を歌ってくれるのかな?』 セツコ『はい、実は私かなり不幸な境遇だったんです』 麗華『ですが、ある人達のおかげで私達は不幸を乗り越えて生きていることが出来ました』 フォウ『だから、私達を支えてくれた人達のために、この曲を歌います』 セツコ『聞いてください』 3人『グロ☆スタで『不幸を乗り越えて(作詞作曲 ラクス・クライン)』です』 カミーユ「(あ然)」 レイ「(同じく)」 シン「………可愛い」 司会『ありがとうございました。いやーいい曲ですね。歌詞が涙を誘います』 フォウ『カミーユ、見てる~?』 セツコ『シン君~ 私、頑張ってるよ!』 カミーユ「うう……フォウ」 レイ「テレビで一曲聞いただけで号泣するな。なあシン」 シン「あ、もしもしレントンか?今すぐCDの予約したいんだけど……」 レイ「シン……」 シリウス「美しい…」 シルヴィア「うわ、テレビで普通に実名だしてるよ」 シリウス「きっと気分が高まって勢いで言っているのだろう。それで麗華は誰の名を叫ぶのか」 シルヴィア「マリンか……または」チラ 麗華『アポロ、ありがとう!あなたの言葉に私はどれだけ助けられたか……』 シリウス「!?」 シルヴィア「!?」 アポロ「おい、不動のおっちゃんがまた特訓だって呼んで………ん、麗華じゃねぇか。何やってんだ?」 クワトロ「実は他にもこんなのを考えていたのだが…」 アムロ「どれどれ」 女帝 メンバー ハマーン、アフロディア、ツィーネ キラ☆キラ メンバー キラ、キラケン ベルタウン メンバー シン、エイジ 天然ガールズ メンバー セツコ、ラクス、ステラ 桃色レディ メンバー ツィーネ、エニル、ミヅキ 電波少女 メンバー ティファ、エウレカ、リーナ 運命 メンバー シン、レイ、カミーユ クワトロ「どうだ?」 アムロ「個人的には運命と女帝が気になるな」 セツコ『皆さん、今日は私達のために集まってくれてありがとうございます』 フォウ『ホント感謝感激です~』 麗華『それでは新曲、聞いてください』 シン「なあ、なんかフォウのキャラ違くないか?」 エイジ「テレビだしキャラ変えてるんだろ」 カミーユ「可愛いだろ?」 シン「いや、確かに可愛いけど……」 キラ「流石ゆ○なボイスだね」 レイ「大した演技力ですね」 カミーユ「何言ってるんだ?フォウは2人っきりで甘える時はあんな感じだぞ」 シン「え?」 エイジ「(のろけだ)」 キラ「(のろけだね)」 レイ「(のろけか…)」 グロ☆スタのライブ会場に来たシン シン「カミーユ達どこ行ったんだろう………はぐれちゃったな」 セツコ「あら、シン君じゃない」 フォウ「あ、本当です~♪」 シン「セツコさん!……とフォウ」 セツコ「来てくれたのね」 シン「ええ、カミーユ達と一緒に来たんですけどはぐれちゃって」 セツコ「そうなの……大変ね」 フォウ「でもここは関係者以外立ち入り禁止です~」 シン「あ、そうなんだ。どうりで人が少ないと………って前から思ってたけどキャラ違くない?」 フォウ「アイドルだからね。少しくらい媚び売るキャラがいないとってラクスに言われてね」 シン「あ、戻った」 セツコ「あ、フォウちゃん。人来たよ」 フォウ「こんにちは。お疲れ様です~」 シン「あ、キャラ変わった。セツコさんや麗華さんはキャラ変えないんですか?」 セツコ「麗華さんは真面目キャラで私は守ってあげたくなるようなキャラって言われてるから素でいいって」 フォウ「ホント酷いですよね~。私だけこんなキャラって」 セツコ「フォウちゃん。もう、人行ったわよ」 フォウ「ふう、まあ、カミーユが可愛い言ってくれるのは嬉しいけどさ」 シン「(これがギャップ萌えか)そ、そう」 フォウ「………セツコ睨んでるよ」ピキーン シン「え?」 セツコ「………」ジィー シン「あ、あのセツコさん?」 セツコ「シン君ひっど~い。フォウちゃんにばっかり見とれて。わ・た・し・も見て~」 シン「!?」 フォウ「……セツコ」 セツコ「(赤面)あ、いや、これは………その」 フェイ「ね、ねぇ、良かったら私と一緒に買い物でも……///」 リィル「エイジさん………私と……私と……!」 斗牙「ねぇ、エイジ。遊びに行こうよ」 琉菜「エイジ!」 チビメイド達「「「エイジさま~」」」 シン「モテモテだなエイジ」ピコピコ カミーユ「そうだな」ピコピコ シン「俺も一度くらいあんなにモテてみたいな」ピコピコ クワトロ「フッ、若いな。ファンネル!」ピコピコ シン「うわ、落とされた!」ピコピコ カミーユ「まあ、俺もシンの気持ち、わからなくもないですけどね。堕ちろぉー!」ピコピコ フォウ「カミーユには私がいるでしょ? 人形のクセに!」 カミーユ「ああ、そうだなフォウ。前に出てこなきゃやられなかったのに!」 クワトロ「ふむ、見せつけるなカミーユ。1人身には辛いな。パワーダウンだと!?」 シン「幸せになカミーユ。ディステニーで叩き斬ってやる!」 カミーユ「ああ、ありがとうシン。遊びでやってんじゃないんだよー!」 シン「ああ、負けた!」 カミーユ「よし、勝った」 フォウ「少しは私に優しくしてよ」 クワトロ「しかし、危なかったな」 フォウ「次は私とチーム組みましょ」 カミーユ「ああ、フォウは僕が守ってみせるよ」 シン「言ったな!」 クワトロ「なら、独り身同士、頑張るか」 シン「了解です大尉」 柱の影から ハマーン「シャア……」 セツコ「シン君……(私、勇気出してみるわ。待っててねシン君)」 ルナマリア「殴っていいかしら?主にシンを」 ステラ「ゲーム……楽しそう……」 ファ「私は泣いていいんですよね」 エイジ「わりぃ、ユミ(幼なじみ)と久々に会う約束してるんだ」 チビメイド「「「えぇ~」」」 斗牙「そうか、仕方ないね」 フェイ「そ、そう……(ユミ?誰よそれ!)」 リィル「わかりました……(でも次は…)」 琉菜「まあ、予定があるなら……ね(うう…なんでこんなにライバルが多いの)」
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「「ぷ~にょ、ぷにょぷにょ~てんしのこ~♪あおいそらから~おちてきた~♪♪」」 形の良い小さな頭をメトロノームのように揺らせ、娘達の舌足らずの歌声に後ろを歩くシンとセツコの口元が緩む。 父親と母親ソックリの亜麻色の髪と黒髪を揺らせる幼い少女達に、道行く人々も微笑ましげに見ている。 少女達の容姿がまた、同年代の子供達と比べても群を抜いて整っており、無垢な歌声と合わさりまるで天使のように 人々の目には映っていた。 「パパ~~私のお歌ど~お?」 亜麻色の長い髪の、二人の内年上の少女が振り返り、真っ赤なルビーさえも及ばぬ輝きを持った大きな瞳をキラキラ と輝かせてシンに満面の笑みを向ける。 それにつられてシンもまた、柔らかく、見る者全てを温かく安心させる笑みを向ける。 「お~お、上手だぞ~」 「えへへへへ ~~♪♪」 頬を薄っすらと桃色に染めると、少女は再び妹の手を取ったまま、前を向いて歌い始める。 その際、瞳の色以外、父親ソックリの妹が、父親にべったりな姉にこっそりと溜め息を吐いたのは余談である。 「うふふ、可愛いわね」 左手に紙袋を持ったセツコが右腕をシンの左腕に絡めながら手を繋いで仲良く歩く娘達の愛らしさを、星色の瞳に暖かな 翡翠の灯りを点した眼差しで見つめる。妻の言葉に、ともすれば他者に畏怖の念を抱かせがちな紅の瞳を夕焼けのように 優しく揺らせて見つめながらシンは頷く。 「可愛い!可愛過ぎる!!羽根を失くした天使が二人歩いてる…こうしてちゃんと見ておかないとすぐに攫われるぞ…」 だらしなく頬を緩ませた父親の顔をソックリそのままコピーしたような赤ん坊は、その右腕に抱きかかえられながら、 不思議そうに兎のようだと言われる赤い瞳をパチパチとさせながら見上げている。 娘に対して親馬鹿っプリを隠すことの無いシンに呆れたように苦笑するセツコは、通りすがりの女性達の反応を何気なく 目にして、思わず顔を顰める。鴉の濡れ羽色の髪に、男性としては色白で細身の身体に、血を垂らしたようにアクセント として赤い瞳を持つシンの容姿は街中であっても異彩を放つ。それはキラ・ヤマトのような童話に出てくるような王子然 としたルックスとは対照的な、吸血鬼のような妖しい空気を醸し出している為、その空気にあてられたように女性達の目 を引く。そして、次にシンの腕の中の彼ソックリの赤ん坊に目をやると母性を刺激されたように頬を緩める。 セツコお手製の黒いウサギのベビー服は、ウサ耳のフード付で、ひどく愛らしい。 そして、最後にその傍らのセツコを嫉妬、嫉みの視線で一瞥していくのだ。 セツコは口をへの字にすると、わざと見せ付けるように、所有権の一切が自分にあるのだと主張するように、絡めている 腕に一層の力を込める。お餅のように柔らかく、豊満な胸が押し付けられシンは笑みを浮かべながらセツコを見下ろす。 「どうしたんだよ、セツコ?」 「何でもないよ」 「そうか~?」 セツコの思惑に気付いていながらも意地の悪い笑みを浮かべるシンに、セツコは頬を膨らませて可愛らしく睨み付ける。 セツコは気付いていないが、セツコもまた道行く男達の視線に曝されていた。 亜麻色を溶かした黒髪は、素材からして特別なもので出来ているのではないのかと思うような艶やかさと滑らかさを持ち、 歩く度にさらさらと揺れる。肌は触らずとも柔らかくキメ細やかであろう事が伺える桃のようで、ぷっくりとした桜色の 唇は瑞々しく、男の本能を刺激する程に艶めかしい。 何よりも、人目を引くその瞳は、翡翠の輝きも足元に及ばぬ程に精密で巧緻な煌きを湛え、どのような表情を浮かべたとしても、 光の当て方により輝きを変化させる宝石のようであり、その瞳を幸福と喜びに輝いている。 その輝きに目を奪われた男達は、シンに嫉妬の目を向けるものの、ある者は幸福に蕩けきった彼女に、付け入る処が 無いと悟り、ある者はセツコを下卑た目で見ているのをシンの紅蓮の瞳によって、殺気すら伴った威嚇を受けそそくさと 視線を逸らしていた。 シンへの女性の視線にヤキモチを焼いてシンに、一層の力を込めてくっ付いているセツコは当然自分に向けられている視線 に気付いていなければ、そんなセツコを愛しく思い、またそんな彼女を独占している事に、シンが優越感を抱いている事に も気付いていない。 「セツコはいつになっても可愛いな~」 「何馬鹿なこと言ってるのよ」 そう言いつつも絡めた腕を一向に解こうとしないセツコに、シンは喉を震わせてクックックと笑う。 ◇ 「ああ~~!!パパ、またママとばっかりイチャイチャしてる~~!!」 いつの間にか、少女達は立ち止まってシンとセツコの方を向いていた。 妹はともかく、母親ソックリの娘は新婚の空気から脱しきらない両親を『面白くないです!!』と頬をリスのように膨らませて 全身でアピールしている。 「ゴメンね~でもママはパパのお嫁さんだからいいのよ」 セツコはからかうように娘に語りかける。娘の反応を楽しんでいるというのが一番大きい点ではあるのだが、自分に中身まで ソックリと仲間内からも評判の一番上の娘に対して、セツコは度々大人気無い事を言う。 少女は、むぅ~と唇をアヒルのように尖らせると、妹の手を引っ張ったまま走り寄ると、無理矢理シンとセツコの間に割り込む。 「パパ、お手て繋いで!!」 むん、とやけに力強く差し出された手に、シンは苦笑を漏らしながら絡めていた腕を解くようにセツコに視線で語りかける。 セツコも、くすくすと笑いながら腕を解き、下の娘の手を握ってやる。 母の手から父を奪還した事と、右手に力強いシンの温もりを得られた事に母親譲りの柔らかな顔立ちをにへらと緩ませる。 そんな娘が可愛くて仕方がないシンは、ぎゅっと痛くない程度に握ってやる。 親子四人仲良く手を繋ぐ格好となってしばらくして、シン達は目的の場所に辿り付く。 そこは、工場と住居が隣接した建物であり、今日は工場の方は閉められているようであった。 「ガロードいるよな」 「うん、ロラン君も来てるって言ってたわよ?」 「へぇ~ロランか~久し振りだな」 シンは、プラチナブロンドの中性的な顔立ちの友人を思い浮かべる。 シンと手を繋いだまま少女は目をくりくりとさせる。 「ローラお姉ちゃんもきてるの~?」 「お姉ちゃん、ロランお兄ちゃんだよ…」 すかざす妹が姉の勘違いに訂正を入れる。そんな姉妹に吹き出しそうになりながら、セツコはドアのチャイムを鳴らす。 暫らくすると、インターフォンのスピーカーからは鈴のような透き通るような声がする。 『ハイ……あ、セツコさん。シンも』 スピーカーからはガロードの妻、ティファの嬉しそうな声が流れ、大した間を置かずに扉が開けられる。 「いらっしゃい!!シン、セツコさん」 「オス、ガロード!!来てやったぞ」 「こんにちはガロード君」 日に焼け、健康的な肌に快活な笑みを浮かべたガロードが勢い良く扉を開けてシン達を出迎える。 「おす、ガロードお兄ちゃん!!」 「こんにちはガロードお兄ちゃん」 ガロードは、ニカッと豪快な笑みを浮かべると、姉妹の頭を力強くわしゃわしゃと撫で回す。 「おう、おチビちゃん達も元気そうだな!!」 「きゃ~髪が乱れる~」 「ガロードお兄ちゃん…痛い…」 髪の毛をぼさぼさにされ、少女達が批難の声を上げる。 しかし、ガロードは、悪い悪いと大して悪いと思っていない笑顔で少女達の頭にぽんぽんと手を置く。 家に上がると、シン達はリビングのソファーで編み物をしているティファと、それを手伝っているロランの姿を目にする。 「オッス、ティファ、ロラン」 「シン!!それにセツコさんも」 相変わらず中性的な雰囲気を持つ青年に、シンは気安く声をかける。 「ローラお姉ちゃんこんにちは~」 一番上の少女の挨拶に、褐色の青年は微かに穏やかな笑顔を引き攣らせると、しゃがみ込んで、少女の赤い瞳と同じ目線に あわせると、噛んでよく含めるように優しく、ゆっくりと語り掛ける。 「………あのですね、お嬢さん。僕はだからお姉ちゃんじゃなくて、お兄ちゃんなんですよ~?」 しかし、赤い瞳をパチパチと瞬かせると、亜麻色の髪を揺らしながら少女は小首を傾げる。 「でも、ガロードお兄ちゃんは『ローラお姉ちゃんでもまちがってないぜ!!』って前に言ってたよ~?」 少女の無垢な瞳に、にっこりと微笑みを返すと、ロランは静かに立ち上がり、背後で明後日の方を見ているガロードに目をやる。 「ガロード……少し、向こうで話しましょうか……」 「い、いや、だから、落ち着けってロラン!!オレはちょっとしたジョークをだな…」 「君は純粋な小さな子に何を話してるんですか…」 ◇ 売られていく牛のように、ロランに引きづられて行くガロードの事をすぐに意識の外に追いやると、シン達は一連のやり取りを 楽しそうに見つめていたティファに向き直る。 「身体の方は大丈夫そうねティファちゃん。あ、これ、お土産」 そう言ってセツコは持っていた紙袋を手渡す。 中を覗いて、ティファの頬が和らぐ。 「ありがとう…」 「男の子だって、聞いたから男の子用のベビー服」 にっこりと微笑みを浮かべるセツコに、微かに瞳を潤ませながらティファは軽く頭を下げる。 「「ティファお姉ちゃんこんにちは~」」 「うふふふ、こんにちは」 ちょこんと、行儀良く仲良く下げられた二つの頭に、ティファは優しい瞳を向けると、真似るように丁寧にお辞儀をする。 「お姉ちゃん、お腹大きい~~!!」 「赤ちゃんが入ってるんだ~」 姉妹の言葉通り、ティファのお腹は既にもうすぐ産まれるであろう事が伺える程に大きく育っていた。 シンは、元々お淑やかなティファの顔に、何処か以前とは異なる芯の強さと温かさが宿りつつ在る事に気付く。 元来、そういった機微には疎い方ではあるが、セツコがそうであったように、ティファにも同じ変化が見られている事に、 もうすぐ彼女も母親になるのか、と妙な感慨深さを覚える。 「何を編んでたの?」 セツコがティファの手元を覗き込むと、ティファは頬を薔薇色に染めながら、恥かしげに手の中の物を見せる。 「赤ちゃんの靴下を…」 それは、小さな青い毛糸の靴下だった。 「わぁ、可愛いッ」 「へぇ……上手いもんだ」 シンも思わず感心したように覗き込む。最初の子供が出来たときのセツコが編んだ物よりもかなり出来が良いといえた。 もっとも、そんな事は口が裂けても言えないな、と思いつつ。 「ロランに教わってたんです……」 「アイツ……本当にこういうの器用だな……」 同じガンダムのパイロットとは思えぬ戦友の器用さに、シンは呆れと感心の入り混じった声を上げる。 セツコはわくわくしたようにティファの顔を覗き込む。 「それで、いつ頃生まれそうなの?」 ティファは穢れない少女のように、処女雪の肌を染めると、恥かしそうに、けれども喜びを抑えきれぬようにそうっと呟く。 「このまま順調に行けば……その、クリスマスに……」 「クリスマスだなんて、素敵ね」 「ティファお姉ちゃんの赤ちゃんクリスマスにやって来るの~?」 「サンタさんがプレゼントしてくれるの~?」 純粋に好奇心を湛えた無垢な瞳を優しく見つめ返すと、微笑を浮かべてティファは小さく頷く。 「そうよ。サンタさんがお姉ちゃんとお兄ちゃんに赤ちゃんをプレゼントしてくれるのよ。仲良くしてくれる?」 「うん!!仲良くする」 「わたし、レイお兄ちゃんに教えてもらったの。クリスマスの曲。赤ちゃんきかせてあげるね」 「うふふ、ありがとう」 娘達とティファのやり取りを見つめると、シンとセツコはお互いに顔を合わせて笑い合う。 これから更に騒がしくなりそうな日々が、けれどもどうしようもなく楽しく、幸せな、喜ぶべき日々になるであろうと そう確信しつつ笑い合う。 リビングから離れた所から聞こえるガロードの悲鳴らしきものが聞こえた気がしたが、シンは気にしないことにした。 前へ戻る 次へ進む
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月光号 コンビニ前 「レントン君、こんにちは」 「あ、セツコさん、いらっしゃい」 レントンは元気に挨拶した。 「今日も、甘いお菓子ですか?」 にっこり微笑むセツコ。 「それもだけど・・・」 少し考え、顔をレントンに近付けるセツコ。 「・・・頼んでたモノ、入ってる?」 レントンは、ハッした。 「あっ!今日入りましたよ!」 レントンは奥から小包大の箱をセツコに差し出す。 「でも、こんな大量の傷薬、何に使うんですか?料理とか?」 レントンがセツコに目を向けると。 セツコは直立不動の姿勢で固まり口をパクパクさせていた。 ウワッと、レントンは一歩引いた。 (・・・言えない、言えないよ、私がシン君の背中をズタズタに引っ掻いて、挙げ句、最近は噛みついて肩をボロボロにしてるなんて) 「あの~?セツコさん?」 レントンがセツコの目の前で、手のひらを左右に振る。 「・・・コ・・コレハネ、ワタシタチ、パイロットテ、ケガガオオイジャナイ?」 「確かに!」 レントンは目をキラキラと輝かせ、セツコを見る。 「予想外の事にも、対策を立てる、それが、一流パイロットの条件なんですね?」 「・・・ソ・・ソウヨ・・」 (・・み・・見ないで、そんな目で、私を見ないで…) 「それじゃ、セツコさん、10BSです」 震える手で代金を渡すセツコ。 「ありがとうございました」 純真無垢な眼差しはセツコの姿が見えなくなるまで向けられた。 この夜セツコは、どうしても泣き止まず、シンは途方に暮れたという。 どっとはらい レントン「あ、そう言えば」 セツコ「?何かな?」 レントン「数日前、シンさんが飴玉買っていったんだっけ…」 セツコ「へ~……(はっ!?)あ、あの、それってイチゴ味だった?」 レントン「そうですよ。あ、一緒に舐めたんですね。」 セツコ「そそそそうなの!あ、あははは…」 ~二日前~ セツコ「ん…はぁっ、シン君、キスで飴玉口に入れるなんて…ヤラしい…///」 シン「ハハ…セツコさんの舌のリハビリも兼ねて、ちょっと。」 セツコ「舌のリハビリって…毎晩、してるよ…」 シン「そうでしたね。じゃあ、今晩も―――」
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12月も半ばミネルバは補給を受ける為、単機で行動中だった。 無論、市販品や共用品は足りているが、いわゆるワンオフ機、最高軍事機密級の補給となると、こういう形を取らざるしかない。 「艦長、臨時補給艦サンタ、見えました」 ミネルバの副長アーサーの声は弾んでいた。 「はしゃぎすぎよ、副長」 ミネルバ艦長のタリアは副長に釘をさす。 「補給は最も大切な軍事行動の一つよ」 「分かってますが、今回のは・・・」 タリアはフーッと一息つく。 「はいはい、補給後は、可能な限りの乗組員に半日の休息を与えるわ、これで、いいんでしょ、みんな」 ブリッジのクルーから歓声が湧く。 副長のアーサーもウンウンと、頷く。 (それにしても、補給艦にサンタなんて、あの人も、狙いすぎね) モビルスーツデッキ こちらも補給があるとの報せで、皆がソワソワしている。 「今回来るんだろ、アレ」 「来るって、郵便」 そんな、とりとめのない会話に、それまで、コックピットに乗りながら、軽快に、キーボードを叩いていた、シンの指先が止まる。 セツコは自身の機体の整備中にも関わらず、その動きを見逃さなった。 (シン君…) そんな中、メイリンの声で艦内アナウスが入る。 [ミネルバ着艦します。各員は衝撃に備えて下さい] それから、しばらくして艦内に着艦の衝撃が走る。 すでにメインハッチの前には、人だかりが出来ていた。 ハッチが開くと、郵便物のコンテナ、一番に届けられ、我先にと、飛びかっている。 いくら通信が発達したとはいえ、作戦行動中の戦艦にメールや電話を気軽には出来無い、やはり、最後の頼みは、郵便なのだ。 「ほら、お姉ちゃん、はやくはやく」 妹のメイリンに背中を押され、ルナマリアは、ハッチの前まで来た。 「絶対、お母さんから、手紙きてるって」 メイリンはとても、嬉しそうだ。 だがルナマリアは、そんな光景を、二階から見ている、シンを見ていた。 「シン・・・」 今まで何度も見てきた光景だった、だが絶対に慣れない光景。 「シン君・・・」 セツコは少年の背中に語り掛けた。シンはセツコの手を取ると、そのまま走り出した。 「シン君、待って、手が痛い・・・手が・・・」 セツコの声に耳を貸さず、そのまま走り続ける。 シンはそのまま、セツコの部屋の中に入ると、セツコを抱きしめ、その胸に顔をうずめ、膝まで崩れ落ちる。 ルームメイトのレイには、絶対に見られたく無い姿だった。 だから、ここに来た、だから、すがった、セツコに。 「・・セツコさん・・俺、自分が立ち直れるは、知ってます・・・」 シンは泣いてる。 「でも、いまだけは・・・こうさせて下さい・・・」 そのままセツコを押し倒し、泣き続けるシン、セツコの胸の中で。 「・・・父さん・・・母さん・・・マユ・・・」 セツコはシンを抱きしめ、頭を撫で続けた、シンが眠るまでずっと。
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ステラ「シンが……ステラのお兄ちゃんじゃない?」 セツコ「ええ、実はシン君と私達、本当の家族じゃないの」 ステラ「じゃあ、ステラ……シンと結婚出来る(ニコ)」 セツコ「ステラちゃん………!」 ラクス「シン。誰ですのその人は!」 シン「え、彼女は」 フェイ「彼女よ。残念だったわねラクス・クライン」 ラクス「!」 シン「ち、違う!俺達はそんな関係じゃ!」 エイジ「知ってますか?シンに彼女が出来たそうですよ」 セツコ「え、あ、そうなの……(どうてだろう………胸がチクリとする)」 シン「俺が何をしたんだ………ラクス……それにフェイさんか………あ」 琉菜「(あ、あれはシン君だ)」 シン「セツコ姉さんとエイジ。一体何を話てるんだ?」 琉菜「あ、あのシン君……」 シン「ん、あんたは」 キラ「(ホクホク)今日は……(ホクホク)色々と急展開だね」 キラケン「(ホクホク)じゃな。しかし…(ホクホク)……うまい焼き芋じゃ」 アスラン「(ホクホク)……これ何角関係だ」 ルナマリア「(ホクホク)私としては……(ホクホク)琉菜ちゃんに頑張って欲しいわ」 アムロ「(もうみんな普通にドラマに入って来てるな)」 ラクス「ふう、やっと収録が終わりましたわ。……あらシン、何を読んでらっしゃるのですか?」 シン「番組表ですよ。俺たちの番組の裏に何やってるのかと思って。そしたら強敵が」 ラクス「強敵?」 シン「見ます?どうぞ」 つ番組表 ラクス「ありがとう。……あら、これは…」 格付けし合う女たち~IN ZEUTH~ 司会:アサキム 出演者:ハマーン、レコア、タルホ、マリュー、タリア、ルナマリア、エーデル(本性)、セツコ、ツィーネ、麗花 ラクス「超見たいですわ」 シン「というかこのメンツにセツコさん入れて何をしろと」 ラクス「シン………私は……あなたの隣に相応しくないのですね」 ???「君、泣いてるの?」 ラクス「………え」 キラ(志○の白鳥スタイル)「笑って」 ラクス「………プ」 キラ「フフ、良かった。君には笑顔の方が似合ってるよ」 ラクス「え?」 キラ「良かったらこれ」 ラクス「これは……」 キラ「僕のお笑いライブのチケットだよ。良かったら見に来てね」 ラクス「シン」 シン「………ラクス。話って…」 ラクス「シン。私、あなたのことが好きですわ」 シン「………ありがとう。でもごめん。俺、俺……」 ラクス「ううん、いいんです。私、わかってましたから」 シン「ラクス」 ラクス「シンは私のことをそんな風に見ていないって……薄々わかってましたわ」 シン「………ごめん」 ラクス「………シン。最後に……一つだけ」 シン「ラク……ス」 シンとラクスのキスシーン ラクス「ありがとう………ですわ。明日からいつもの私達になりましょう」 シン「…………ごめん」 ラクス「もう、謝るのはなしですわ。それじゃあ私はこれからお笑いライブを見に行くので」 シン「………ラクス。俺、最低だな」 キラ「(ズルズル)僕の出番ってあれだけかな?」 キラケン「(ズルズル)まだいいわい。わしの出番なんかカットされとるわ」 ルナマリア「(ズルズル)ラクス様………可哀想……(蕎麦すすりながら泣いてる)」 アスラン「(ズルズル)1クールピッタリで幼なじみ脱落か。次回からはどうなるのかな?」 シン「セツコさん………あれはドラマで演技なんですよ。だから機嫌直してください」 セツコ「………」 シン「俺はセツコさんだけですって。だからもうふてくされるのは止めてくださいよ」 ツィーネ「ラクスの唇はどうだった」 シン「柔らか………嫌々、セツコさんが一番………ってセツコさん待って!話せばわかるって!!」 アムロ「声が走った!」ピキーン クワトロ「顔は止めろ!ボディにするんだ!」ピキーン ハマーン「次回収録出来るか?」ピキーン
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白ウサギ「う~む…」 お姉さん「白ウサギ君?眉間に皺が寄ってますわよ?」 白ウサギ「む、お姉さん」 お姉さん「そんな顔ではテレビの前の小さなお友達から大きなお友達まで困ってしまいますわよ?」 白ウサギ「いえ…黒ウサギの結婚式の仲人をどちらがするのか青ウサギと揉めてまして」 お姉さん「マジメンドクセェ…ですわ。もうサンドマン夫妻にお願いするのが無難ではありません?」 白ウサギ「いえ、無難とか妥協という言葉はルナマリアの射撃の腕についてならばともかく、黒ウサギの結婚式には出来ません」 お姉さん「はぁ~…じゃあもういっそ白ウサギ君が女装して青ウサギ君とセットで仲人でもしたらどうですの」(超投げやり) 白ウサギ「!!」 お姉さん「え?何で『それだッ!!』っていう顔をしてますの!?ここ突っ込むところですわよ!? 黒ウサギ君ならすかさず『BLネタも女装ネタもお腹一杯だよ!!ていうか人の結婚式を コスプレパーティー的なノリにすんなよ!!』とか激しくスズヴォイスでツッコミ入れてますわよ!!」 『3、2、1!どっかーん!!わ~い!! なぜなにZEUTH~』(ナレーション:ホーク姉妹、題字:タリア艦長) お姉さん「おーい!みんな~集まれーー!!なぜなにZEUTHが始まるよ~!!」 白ウサギ「集まれ~」 お姉さん「さて、今回は初心に戻りましてお便りを読み上げたいと思いま~す」 白ウサギ「仲人問題も無事解決したしな」 お姉さん「しましたの!?」 白ウサギ「ただ筋肉質なもので、カクテルドレスが似合わないんですよ」 お姉さん「聞きたかねぇですわ、そんなこと…」 白ウサギ「それで、お便りを読まなくても宜しいのですか?」 お姉さん「お便りは大分前にあった222さん基『愛の勇者』さんからですわ 『お姉さん、白ウサギさんこんにちは。黒ウサギ君がいなくなって番組も随分寂しくなりましたが、一つ疑問があります。黒ウサギ君大好きなガイアさんに黒ウサギ君は食べられたりしないのでしょうか?性的な意味で。』というものですわ」 白ウサギ「そういえば彼女はまだ出てきてませんでしたね」 お姉さん「女性関係の清算はとても大切なことですわ~必ずしも恋敵が最終回で撃墜されるとは限りませんものね…」 白ウサギ「さらっとヘヴィーな事をおっしゃいましたね」 お姉さん「まぁ、シャッキリぽんと解決するには、ここでうだうだ話しているよりも、とっととこちらのVTRを観やがれですわ」 白ウサギ「お姉さん、黒ウサギがいなくなってから何だか投げやりになりましたね…」 ~VTR~ ステラ『……この中に赤ちゃんいるの?』 セツコ『そうよ?ほら耳をつけてみて』 ステラ『わぁ…動いてる…どうして出てこないの?ステラ、シンとセツコの赤ちゃん見たい…かくれんぼしてるの?』 セツコ『うふふふ、もう少ししたら出てくるわよ。今はまだ小さいからこうしてお腹の中で私とシン君が守ってるの』 ステラ『守る…』 セツコ『赤ちゃんが生まれればステラちゃんもお姉ちゃんね』 ステラ『ステラがお姉ちゃん…?』 シン『セツコさん。ブロッコリーとアスパラのサラダ。あとグレープフルーツ。妊娠中はコレが良いんだって』 セツコ『ありがとうシン君。あ~ん♪』 シン『ちょ、セツコさんッ!?ステラが見てる前で……』 セツコ『あ~ん♪♪』 シン『………わかりましたよ。ハイ、あ~ん』 ステラ『シン、シン。ステラも。ステラにもして』 シン『ハイハイ、ステラは甘えん坊だな。ハイ、あ~ん』 ステラ『あ~ん♪』 シン『美味しい?』 セツコ『うん、とっても』 ステラ『シンの料理…いつも美味しい』 ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ シン『敵襲!?』 セツコ『また新連邦の残存勢力かしら……』 シン『セツコさん…』 セツコ『うん、行って来て…私は大丈夫』 シン『ゴメン……ん?』 ぐいぐい シン『ステラ?』 ステラ『シン…ここに残る。ステラが出る。シン、ステラ守ってくれた。だから今度はステラが守る。シンとセツコと、赤ちゃん』 シン『ステラ…』 セツコ『ステラちゃん…』 ステラ『ステラ、お姉ちゃんになるから。赤ちゃん守る』 お姉さん「涙で前が見えませんわ…」 白ウサギ「ううッ…シン、良い子を持って…グスッ…」 お姉さん「グズグズッ……ズズッ…白ウサギ君…お父さんみたいな目になってますわよ?」 白ウサギ「お姉さんこそ」 お姉さん・白ウサギ「ううッ…ま、まった、ズズ…まっ種~~」 前へ戻る 次へ進む
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「随分と過保護なのね」 モニター越しに、相手が微笑ましく顔を緩めているのにシンは気恥ずかしくなる。 最近富に電話の相手の自分を見る目に何とも言えないむず痒さを覚える。その感情が一体何なのか量りかねていたが、何処か懐かしく、不快ではない。 それは、幼い頃に母親に褒められた時の嬉しさと恥かしさが混ざり合った感情に近いものだ。 その事に、シンは気付いていない。余りにも遠い昔に抱いた感情を彼は思い出すことが出来なかった。 「そうですかね…でも、スイマセン、突然ご無理を言ってしまって」 「あら、シンもそういう気配りが出来るようになったのね」 「や、止めてくださいよ艦長ッ」 「もう、艦長じゃないでしょ?ただのどこにでもいる母親に向かって」 からかうように声を弾ませる相手に、つくづく自分が頭の上がらない事を実感する。 それもそうだろう、電話の相手は自分の無鉄砲ぶりに悩ませ、次々と引き起こすトラブルのせいで散々迷惑をかけてきた相手なのだ。 自分が最も考えなしに行動し、手を焼かせてしまった存在。シン・アスカがこの世で頭の上がらない人間トップ3に間違いなくランキングされているであろう人物、元ミネルバ艦長、タリア・グラディスその人なのだから。 「でも、艦長は艦長ですから」 そう拗ねるように言うと、タリアは駄々を捏ねる子供を見るような目でシンを見つめる。 この今は亡き母親を想起させる瞳に、最近増々弱くなってきている気がする。大戦中の自分にはそれだけ回りを見る余裕が無かったという事でもあるが、 やはりどうにも拭い難い恥かしさが込み上げる。 「うふふ、そう言って貰えると光栄だわ、アスカ隊長殿?」 「艦長、勘弁してくださいよ」 「そうね、イジメるのも此処までにしておきましょうか。それで、セツコさんを送って行って上げればいいのね?」 「ハイ、お手数をお掛けします」 「いいわよ、軍を辞めて、子供も手が掛からなくなってきて正直暇を持て余しているくらいだもの」 そう言って、微笑むタリアにシンは頭を下げる。 迎えに来てもらう時間だけ言うと、シンは電話を切る。 「ゴメンね、シン…」 背後からの声に振り向くと、ソファーにもたれかかっているセツコが上気した頬で申し訳なさそうに言う。 シンはソファーの端に近付くと、汗で額に張り付いたセツコの髪を優しく解いてやる。 「気にするなって。艦長が来てくれるみたいだからさ」 「うん」 セツコの額に自分の額を当ててやると、相変わらず熱がある。 そっと、彼女の肩を抱き寄せると、衣服越しに伝わってくる体温は通常よりも高く、シンは微かに眉を顰める。 ここ暫らくずっと微熱続きのセツコの体調が心配で、シンは彼女を病院に連れて行くことにした。 といっても、仕事のせいでシンは病院に送っていくことが出来ない。 かといって、今のセツコを、それもナチュラルの彼女を一人で病院に行かせるのは躊躇われた。露骨な差別運動は起こっていないが、まだまだナチュラルを差別するコーディネイターは多い。それはナチュラルにおいても言えることだが、それはともかくとして、万が一でもあり得ないと言い切れない以上シンは安心出来る術を用いたかった。 そして、頼ったのが軍を退役し、一児の母親をしている嘗ての上司、タリア・グラディスであった。 「シン……仕事、遅れちゃう……」 抱き寄せられ、シンの肩に頭を預けながら、セツコが辛さを押し殺すように言う。 本当はずっと傍にいてやりたいというのに、そうも行かないのが今のシンの立場であった。 「わかった……セツコ…」 「ん……」 そっと、重ねるだけの口づけをすると、名残惜し気にシンは離れる。 唇を話した瞬間、微かにセツコが寂しそうな表情を浮かべるのに胸が痛む。 「行ってくるな」 「いってらっしゃい」 そう言って微笑むセツコに盛大に後ろ髪を引かれながらザフト軍基地に向かった。 その日のシンの仕事ぶりは散々だった。 セツコの事が心配で気もそぞろで、ルナマリアの説明を三、四回聞き流し彼女に書類の束で頭をはたかれた。 セツコの待つ家に帰ろうと気が逸る余り、訓練目的のシミュレート戦で最速撃破をしてしまった。 持ち味と欠点を引き出す以前に、新米隊員達の自信を粉砕してしまいルナマリアにハイキックを打ち込まれた。 『もう、今日はアンタ帰りなさい!!』 シンの駄目っぷりに根を上げたのはルナマリアだった。彼女はシンの認可が必要な書類の認可だけを出させると(本来は決して行ってはいけない)、 今尚シンへのアプローチを止めない、数ヵ月前にジュール隊から異動してきたテスラ嬢を牽制しつつ、シンを叩き出した。 ルナマリアのさりげない(というには些か乱暴な)気遣いに感謝しつつ、帰路についた。 何も無ければいいがと、もどかしく家のロックを解除しようとして、ロックが解除されたままなのに気付き、ギョッとなる。 ここ暫らくロックをしておくようにセツコには言ってあったからだ。 自分の背中を冷たい汗が流れるのを感じ取る。 今すぐ家に入りたいという衝動と、入ることを恐れる不安に暫らく葛藤していると、目の前でドアが開いた。 「どうしたの、帰ってきたと思ったらドアの前で立ち往生なんかして?」 「艦長…?」 予想外のタリアの姿に、シンは放心したように呟く。 「何してるの?早く上がりなさい。報告したいこともあるんだから」 どこかウキウキと楽しそうなタリアの口調を怪訝に思いながらも家に上がると、ソファーにセツコの姿を見る。 見た限りは特に何も無かったようで、ホッとするものの、彼女はシンの姿を見つけると何故か緊張したように姿勢を正して俯く。 顔を赤く染めながら、どこか挙動不審なセツコに視線だけでタリアに問いかけるものの、タリアは嬉しそうに笑ってシンをセツコと向き合うように座らせる。 「あ、あの、おかえり、シン」 「あ、うん、ただいま」 強張った声に、シンまで緊張してしまう。セツコは、何度か口を開いては、言葉が出て来ずに空気を噛むようにもごもごとさせては口を閉じる。 中々、思い切って言葉に出せない自分にもどかしさすら覚えているようだ。 少しでも話しやすくなればと、シンは優しく促してやる。 「どうしたの?何かあったの、セツコ?」 その言葉に、ようやく決心が付いたのか、セツコは真正面からシンを見つめると、二、三回気を落ち着かせるべく、深呼吸をする。 「あのね、今日病院行ってきたらね……その……おめでた、なんだって……」 ◇ おめでた? おめでたというとおめでただよな? おめでたって誰が? セツコが? 「一ヶ月になるって、お医者様が言ってたの」 それだけ言うと、セツコは頬を染めて俯く。膝の上に置かれたカチコチに固まった手に視線を移す。 流石に、余りにもじれったい二人に助け舟を出さなければと思ったのか、タリアはシンに微笑みかける。 「人によってはね、妊娠して一ヶ月でつわりが始まっちゃう人や、ずっと高温が続いて風邪みたいな症状になる人もいるのよ」 つまり、セツコのここ最近の微熱は性質の悪い風邪や病ではなく、寧ろその逆の事だったというわけだ。 ようやく理解が追い付いたのか、シンがカラカラに渇いた喉を必死に唾で湿らせてセツコを見つめる。 「……おめでたってことは…妊娠ってことは、その、子供がいるんだよな?俺の……」 「うん。シン以外にいないから……」 確認の意味をどう捉えたのか、セツコは些かズレた返答をしながら頷く。 セツコが妊娠をして。 相手は自分しかいないわけで。 妊娠ということはセツコのお腹には子供が授かりつつあるというわけだ。 つまり、セツコのお腹の中にいるのは自分の子供で、当然自分は父親になったわけだ。 自分が親に? 今まで、想像さえしてこなかった事だ。当然セツコと『そういう行為』を行っているのだからあり得ない話ではない。 コーディネイターの出生率が低いという事もそこまで気にした覚えは無い。 ただ、自分という人間が人の親になるという事実が想像も付かなかった。 「嫌…だった…?」 不安に瞳を揺らすセツコにハッとさせられる。自分なんかよりもずっと彼女の方が不安であったに違いない。 幸せに不慣れで、臆病で、人の負担になることを厭う彼女に、自分の呆とした表情はどのように映るのか。 セツコは自分の声が震えているのを感じていた。 自分の中に命が宿ったことではない、シンがどう思っているのかが怖かったのだ。 病院で自分の中にシンとの子供が宿っていると聞かされたときは、ただ、ただ感極まって涙が溢れた。 人並みの幸福を諦めた。 人として生きる事を諦めた。 幸福が自分の手をすり抜けていく感触ばかりに慣れていた。ぬか喜びの連続の中、次第に期待する事を放棄していた。 自分には到底手が届かないと思っていたものが、この一年ちょっとの間にこんなにも次々と舞い降りてきて良いのだろうか。 こんなに与えられ続けて、正直、戸惑いを通り越して目も眩む程の、自分の手では抱えきれない程に喜びがめまぐるしくやってくる。 シンには一緒に幸せになろうと言ったけれども、本当に自分が良いのか。自分ばかりが幸福を独り占めしているような気さえした。 単純に『嬉しい』の一言では言い尽くせない様々な感情が溢れて、心がパンクしたのではないかと思うくらいに涙が溢れ続けた。 けれども、どうしても不安だった。『家族』という存在が出来る事を重荷に感じてしまうのでは、そう思うと途端に怖くなった。 少しでもネガティブな方向に思考が向くと、どんどん自分の中でそれを膨らませてしまうのはセツコの欠点だった。 タリアは大戦を共に戦い、その苛烈な運命に翻弄され、傷付き続けていた小さな肩を見つめる。 悲しみに打ちひしがれる姿ばかりが余りにも思い出されるため、この子は当たり前の幸福にさえ怯えている。 病院で妊娠を告げられて、泣き出したセツコを抱き締めてやり、母親が子供にするように優しく背中を撫でながら宥めてやった。 少女という程幼くはない筈だが、幸せにどうして良いかわからずにただ泣くことしか出来ないセツコはタリアには小さな少女にしか映らなかった。 きっと、こんなに幸せな事が起こってしまっても良いのかと思っているのではないだろうか。 「それは、女として当然得る権利がある極当たり前の、平凡な幸せなのよ」そう言ってあげたかった。だから、もっと欲張りになりなさいと言ってしまいたかった。けれど、自分のそんな言葉では意味を成さない。それが出来るのはたった一人なのだから。 腕の中の少女同様、いつまで経っても自分にとっては聞かん坊の男の子、彼女と同じ境遇を持つ嘗ての部下だった少年。 日常を失い続けていた二人なのだからこそ、普通の人よりももっと幸せになって欲しいと思う。 自分には叶わなかった『心から愛する人との子供を授かる』という幸せをセツコに手離して欲しくなかった。 自分が得られなかった幸せを彼女に与えてくれたシンにも、その幸せをどうか知って欲しかった。 そう願いながら見つめるタリアの視線の先で、シンはゆっくりと何かを飲み下すような顔をする。 「嫌なわけないだろ……何でそんな事思うんだよ、アンタって人は。嬉しいに決まってるだろ…嬉しくて、どうしたら良いのか、何も考えられないよ。 けど……ありがとう…ありがとう、セツコ」 瞳を細めると柔らかく微笑むシンにタリアは目を奪われる。 (いつの間にこんな顔が出来るようになったのかしら、この子は) 辺りに噛み付くことしか知らないような、それでいて、瞳の奥に寂しさと不安をいつも抱いていた少年はタリアから見てもドキリとするような笑みを浮かべていた。その笑みに、まるで堪えていたものが切れたとでもいうのだろうか、セツコは弾かれたようにシンに抱きつく。 普段の姿からは想像も付かない幼い女の子のような感情表現に、タリアは何故か驚きはしなかった。 知らず、知らず口元に笑みが浮かぶ。 (きっと、今までの分を取り返すように甘えているのね) 無意識にずっと抑え続けていた甘えん坊なセツコの側面が、今まで我慢してきた時間を挽回するように主であるセツコの意思すら押し退けているようだ。 無防備に自分の全てを曝すようにシンの胸に飛び込んだセツコは子供の様に声を上げて泣いていた。 そんな彼女の頭を、シンは自身の目尻に浮かんだ涙をこっそりと拭いながら撫で続ける。 そんなシン達を見て、タリアは何処か心のしこりが取れるような心地を味わっていた。きっと、それはタリアにとって、放っておけないくらいに心を痛めていた二人がようやく着実に、きっと求め続けていたであろう『当たり前』を手にしているのを、今ハッキリと目の当たりにして安心したからだろう。 (これじゃあまるで母親ね………ねぇ、ギル。私達が手に入れられなかった幸せをシン達に重ね合わせるのはおこがましいことかしらね………) そっと、もういない彼の人を思い浮かべ、タリアはひっそりと寂しげに微笑みながらシンとセツコの抱擁を見守っていた。 ◇ 「まぁ!!それは素敵ですわね!!」 プラント最高評議会議長、ラクス・クラインの弾む声が議長室に響く。 彼女の対面に座るのはシンとセツコの二人であった。 「ありがとうございます、議長」 「ありがとう、ラクスさん」 照れ臭そうに頬を掻くシンと、はにかみながらも喜色を隠しきれないセツコの二人をうっとりと、羨む様な瞳でラクスは見つめる。 彼女は当然、コーディネイターの出生率の低さ、それも二世代目の出生率の低さを知っている。 パトリック・ザラが引き起こした大戦の折には彼女自らがコーディネイターの遺伝子の不自然さを人々に説いていたのだから。 そして、プラントではそれ故に、以前は遺伝子上最も子供を成すのに適合した者達の間に婚姻統制が用いられていた。 そのような些か旧世界のようなしきたりを持ってこなければならないほどに出生率の低さは懸念材料であり、武力放棄という地球と月との間で進めている大願とは異なる、『プラントの議長』としてのラクスの頭を悩ませているもう一つの問題であった。 ラクス個人としては、子供とは愛し合うもの同士の間に産まれて然るべきであるという、至極最もな考えを持っていた。 それを捻じ曲げて遺伝子で決められた組み合わせ、悪く言えば馬か何かの交配のように夫婦を取り決める方針でなければ繁栄出来ないのであれば、それは仕方がないことだとも思っていた。 けれども、議長としてのラクスの立場は、そう断言する事を許さないものだった。プラントの未来を願うのならば、合理的に子孫を繁栄する術に頼るしかない。私人としての理想と公人としての判断に日々苛まれていた。 故に、自分と同じ第二世代のシンが子を成したことを喜ばしく思う。けれども、ラクスはキラとの間に果たして子に恵まれるのかが見通せない。 故に、自分と同じ女であるセツコが愛する人との子を宿すことが出来た事を少なからず羨む気持ちもあった。 (本当に素敵ですわ。そして、とても羨ましいですわ……) きっと、第二世代のコーディネイターの女性ならば誰もがそう羨まずにはおれない程に、セツコの表情には『女』として満ち足りたものがあった。 けれど、きっと彼女の受けてきた痛み、彼女によって救われた世界を鑑みればこの程度のご褒美でもまだ足りないのだろうと思う。 だから、嫉妬する気持ちも確かにあるものの、素直に祝福の言葉が真っ先に口を突いて出た。 ふと、そこまで考えてラクスは疑問に思う。何故、わざわざ彼らが自分のところに報告しに来たのか、と。 そんなラクスの心情を読んだかのように、シンが躊躇いがちに口を開く。 「そ、それでですね。あの後、艦長 ―――― タリアさんとも話したんですけど、その母体っていうか、子供を身籠ったばかりの今が一番デリケートな時期らしいんです。だから、少しでもストレスの無い環境が必要だからっていうことで、だったら地球に移りすもうかと思って………」 確かに地球に生まれ育った者にとって、ラクスが当たり前のように感じているこの作り物の世界が息苦しく思えるようだ。 ハッキリとした共感は無いものの、客観的に見てラクスにも子供を生むのは地球の方が環境としては良いだろうと思う。 「それで、この際っていうか、ずっと前から考えてたことでもあるんですけど……」 しどろもどろに話す、要領の得ないシンの言葉に首を傾げる。 産休が欲しいとか、隊務の時間を変更して欲しいとか、そういう要請ではどうも無いようだ。 「俺、この際に軍を辞めようと思うんです」 力強く、ハッキリと迷い無く言い切られた言葉に、珍しくもラクスの目が点になる。 目の前の青年が突拍子も無い事を言い出したり、やらかしたりするのはアスランやルナマリアから聞いていた。 実際、最早1年以上前のフロスト兄弟の襲撃の際は、デスティニーを射出させて、大気圏突入ギリギリのところで乗り込んだという報告も聞いている。 けれども、今のシンの表情は、行き当たりばったりとは異なる強い決意が込められていた。 考え続けた末に、ようやく決心したといったものである。 決心は最早揺らがないであろう事は感じ取れる、しかし、ラクスはどうしてもシンから聞いておきたかった。 彼の口から、彼の言葉で、彼の理由を。 「貴方は元々望んでザフトに身を置いていたのではないのですか?」 「ええ、最初は自分のような人間を出さないために、思い上がりも甚だしいですけれど世界を平和にする為にザフトに入りました。 戦争が終わってからは、正直……セツコを見つける為の力が欲しくてザフトにいました」 「けれども、貴方の目的は……二つとも果たされた」 一つ目の世界の平和は、目下模索中ではあるが、少なくとも二つ目の目的は完全に果たされている。 シンは静かに頷く。 「議長……いえ、ラクスさんは俺の機体を見たことがありますか?」 シンの機体……今は亡きギルバート・デュランダル前議長の主導の下設計されたガンダム。 MSにおいては専門的な知識を持たぬラクスから見ても、あれは歪な機体だった。 「アレは俺そのものです。物を破壊するだけしか能のない俺ソックリの奴です。けど、けどこれからのザフトには……世界には必要の無いものです。ガロード達がXを破壊したのと一緒です。もう壊して作る時代は終わってる。これからの世界に…作って、直して、維持し続けていく世界に必要なのは多分キラさんみたいな人です。だから、もうザフトに俺みたいな奴は必要がなくなろうとしてるんです……」 それが自分を卑下しての言葉であれば、ラクスはきっとシンを引き止めただろう。 未だに治安の悪い宙域はある。新連邦やブルーコスモスの残党や、海賊もいる。それらへの対抗策として、今はまだシンのような純粋な力は必要なのだから。 けれども、シンの浮かべているのは、微かな寂しさと、それを上回る程の喜びだった。 否、安堵と言った方が適しているのかもしれない。 (彼は、心から平和を求めていたのですね……) だからこんなにも穏やかに自分が必要ないと言えるのだ。 自分が必要とされない寂しさより、自分を必要としないくらいに世界が平和に向かっている事を心から喜ばしく思っている。 そんなシンを軍に縛り付けられるような言葉は、幾ら探してもラクスの中からは出てこなかった。 「地球に降りたらどうするつもりですの?」 恐らく、シンの退役金からすれば、そうそう生活に困る金額ではないだろうが、かといってラクスにはシンが何もしないで日々を過ごすようには見えない。 何かをしていなければいられないタイプの人間だと思っている。 「まだ考えてないです。とりあえず地球の仲間達に話したら色々と誘われてるんで、自分に何が出来るかじっくり考えて決めたいと思ってます」 傍らのセツコに視線を流すと、彼女は微笑みながら、小さくこくりと頷く。 「そうですか……でしたら、今度の量産機のプレゼンをもって、貴方をザフト軍から退役といたしますわ。それと、お二人は何処に住まわれるおつもりですの?オーブですか」 「私も……それを考えたのですけれど、その、子供の事でアヤカさんに相談したら、出産までの間はサンドマンさんのお城を間借りするように勧められたので……しばらくお世話になろうかと」 成る程と、ラクスは納得する。あそこならば城が堅固な要塞となっている。 メイド達のいる環境は有難いものであるだろうし、城の傍の森や湖は心を癒してくれるだろう。 それに、何よりもコーディネイターであるとか、ナチュラルであるといった差別が存在しない。 環境としてはオーブの市街に住むよりも余程好環境であるだろう。 最も、本当はサンドマンが好きなだけいてくれて構わないと言ったのだが、それを辞退してシン達は間借りという形を取った。 代わりにシンは新型のグラヴィオンのテストに協力をする事にした。 軍用兵器であれば協力をしたかわからないが、今度の新型は不安定な次元や重力場を修正し、固定するというコンセプトであったため、シンは引き受けた。 「それに、その……あそこですと……教会をお借り出来ますから」 そう呟くと、セツコは赤くなった頬に手を当てて、俯く。 「教会……あぁッ!そういうことですのね!!」 流石に同じ女性だからか、ラクスはすぐさまそれの意味するところを感付く。 シンは当初、テレビ電話越しにセツコとアヤカやグランナイツの女性陣、メイド達が『教会』という言葉にやたらと盛り上がっていた意味がわからなかった。 「おめでとうございます!!日取りが決まりましたらすぐにご連絡下さいな!!」 「は、はいッ。ありがとうございます!!」 やはり、今回もラクスとセツコは教会というキーワードが出てからすぐに盛り上がり始めた。 弾んだ声でお喋りに華を咲かせている様子は、大戦の英雄と、プラントの議長ではなく、何処にでもいる普通の年頃の女性にしか見えず、 シンは苦笑混じりに溜息を零す。 ◇ 「あの後は本当に大変だったよね」 ウエディングドレスのセツコが、自分のお腹に手を当てているシンを見上げると悪戯っぽく笑う。 シンは「ウッ」と呻いて苦み走った顔を作る。 ラクスへの報告後、引越しの準備や移住の手続き、隊長業務や、出産までの過ごし方やら結婚式についての調べ物やらに追われ日々は多忙に過ぎていった。 そして、あのプレゼンの日、爆弾発表にルナマリアが爆発した。 急遽「君明日から隊長ね」等と言われれば無理もないことである。 しかも、空気の読めないことに、シンはそれを「悪い悪い」と簡単に済ませてしまった。 それが状況を悪化させ、火に油どころかガソリンをぶちまけられたかのようにルナマリアの肉体言語に曝された。 スーパーコーディネイターをして、「彼女はMSの操縦よりも総合格闘技の方が向いている。彼女なら世界も狙える」と言わしめるものであった。 そして、地球に移住してからは、また新たな環境での多忙の波に飲み込まれた。 セツコの方は安静第一であり、ほのぼのと家事を手伝ったり、メイド達と編み物をしたりと穏やかに過ごしていたのだが、シンの方はそうは行かなかった。 G因子を持たないシンは新型グラヴィオンの裏方をする事になっていたのだが、プログラムから、果ては男手としての力仕事に馬車馬の如く酷使された。 ほんの少し「間借りなんてカッコ付けるんじゃなかったかも…」と後悔した。 そして、報を聞き駆けつけた桂、ホランドといった親馬鹿同盟の酒の相手や、ガロード等の質問攻めに遭うはめになった。 「でも、ようやくというかあっという間だけど、ここまでこぎつけたな」 「うん」 多忙な日々が、セツコのウエディングドレス姿を見て一気に報われたと感じた。 「あのさ、一つ、最後の弱音、告白してもいい?」 「ふふ、どうぞ」 こつんとおでこを合わせ、シンが甘えるように語り掛けるのを、心地良さそうに聞き入れる。 「俺さ、今日スッゲェ安心してる。ホントに四年前に俺が一番ビビッてた事ってさ、セツコが帰ってこない事じゃなかったんだ」 シンの言葉に、セツコは「うん」と小さく相槌を打つだけで先を促す。 「一番怖かったのはさ、俺がヨボヨボの爺さんになって、そこに19歳のまんまのセツコが帰ってくるんだ。それで、セツコに声をかけると、『どなたですか?』って真顔で聞かれるの。そういうかなりキッツイ未来が来ることが………実は一番怖かったりした」 「声をかけるのは前提なの?私が逆の立場だったら、きっと怖くて声も掛けられない……」 「そういやそうだな。気付く筈ないのに…ていうか気付く方が難しいのにな。でも…何でだろ、『声を掛けない』っていう選択肢だけはそう言われてみると 一度も考えたこと無かった……」 その言葉だけで十分だとセツコは胸が熱くなった。彼はどれだけ変わり果てようと、それでも『自分を見捨てる』という選択だけは決して持ってはいなかった。その答えだけでセツコは泣いてしまいたくなった。 きっと普段の自分なら泣いてる。シンのせいで、甘えん坊の泣き虫にされてしまった自分は、嬉しいことがあるとすぐに泣いてしまう。 それを堪えられたのはメイクが落ちてしまわないように、そして、少しは強がりをしてみせたかった。 張るほどもないかもしれない意地を張りたくなったからだ。 『青』という色が嫌いだった。 絆の証であると同時に痛みと悲しみの証でもあったその色は、涙を表す青でもあった。 けれど、シンとであってから流した涙は不快なもの等無かったように思う。 喜び、幸福、そんな感情でも泣けるという『当たり前』を貰った。 そして、今自分はサムシングブルー ―――― 幸福の青を身に付けている。 今では、シンの瞳の色と同じくらい大好きになった色だ。 けれど、と思う。 「でも、もう心配いらないね。一緒にお爺ちゃんとお婆ちゃんになって行けるね」 幸せにされるばかりでは面白くない。 自分は目眩をするくらいの幸せをシンから貰った、だったら自分はシンを気絶させるくらいの幸せをあげないと気が済まない。 「お婆ちゃんのセツコか……ははは、何か縁側と猫がスッゲェ似合いそう」 「シンはだったら、年甲斐も無く頑張りすぎてギックリ腰になっちゃうタイプのお爺さんだね」 「いいなぁそれ。それで、縁側のセツコに腰にシップ張ってもらうわけか」 こんな他愛もない軽口の叩き合いにすら幸福を覚える。 「ねぇ、シン君……」 「何だよ、セツコさん」 ワザと昔のように呼んでみると、それに合わせて子供っぽくシンが呼び返す。 「幸せにしてね?…………でも、私も負けないぐらい、ううん、勝つくらいシン君の事を……」 そっと、シンの首に腕を回すと、セツコの腰を優しくシンが抱き締める。 「 ――――――――――― 」 耳元でそっと口付けるように呟かれたセツコの言葉にシンは、無邪気に、嬉しそうに笑う。 「了解ッ」 年下で、危なっかしくて、放っておけない弟みたいに思っていたシン。 頑固で、負けず嫌いで、生意気で、時々憎らしいけれど、本当は優しくて寂しがり屋のシン。 再会した時には少しだけ自分より年上になって、自分が手玉に取られてしまいそうに大人っぽく、そして少し捻くれてしまったシン。 女性慣れをして、自分を翻弄するようになってしまった、少しだけお兄さんになってしまったシン。 エッチで、甘やかしてくれるけれど、甘えたがりで、自分に出し惜しみせずに想いをぶつけてくる、やっぱり変わらないシン。 そんなシンに負けないくらい自分だって彼の事が好きだから、セツコは大胆不敵に宣戦布告する。 『シン君の事を幸せにするから……だから覚悟しててね?』 前へ戻る 次へ進む